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やったこと、考えたことの記録

勉強法の本読むよりも勉強したい

巷では「○○する方法」と銘打った本が後を絶たない。

自分は高校から大学にかけて学生野球をしていた。投手。 何をするにも知識から入るタイプだったので「球速をあげる方法」「コントロールをよくする方法」をググりまくり、大型書店に通い、その手の情報にはどんな高校生よりも詳しかった。

しかしプレーヤーとしては伸びなかった。自分が目指したほどには。

それには様々な要因がある。野球を始めるのが遅かったとか、体格が大きくないとか、筋肉の質が、とか。

そんな中で自分が何より反省していることがある。「知識を過剰評価していた」ことだ。

「実践を怠った」ことではない。むしろ自分はよく練習した。 練習やトレーニング、調整のプログラムも自分で考えて組み立てて、始めるのが遅かったわりにはかなり上達した。

しかし、おそらく最も肝心ななにかが欠けていて、野球選手として突き抜けることはできなかった。 その前に、怪我がちになって諦めた。

イチロー選手は本を読まない、と聞いたことがある。その理由は「本を読むと、わかったような気になってしまう。自分の言葉じゃないから、意味がない」からだったと思う(うろ覚え)。

今の自分にはそれがよくわかる。コントロールよくボールを投げるには、究極のところ「コントロールよくボールを投げる」しかない。

無意味な言葉に思われるかもしれない。一般的にコントロールをよくするには、足腰を鍛え、無駄な力を入れずに投球フォームを安定させることが必要だとされる。確かにこれは正しい。間違いなく正しい。

しかし、これだけでは圧倒的に足りない。最も重要な部分が欠けている。どんなに強い下半身があり、理想的な投球フォームがあったところで、「しっかりと狙いをつけて投げる自分」がいなければ結局狙いは定まらない。

それと同じことが仕事にも言える。

世の中にはいろんなビジネス書とか、キャリアポルノと言われる(内容が)安いキャリア本が溢れてる。 その中には、時々「これを読めば成長するんじゃないか」という淡い期待を抱かせる巧妙なものも実際にある。

しかし読んでみたところで、結局のところあまり変わらないことがほとんどなのではないか。

もちろん真似ることはできる。本に書いてある内容がチープなものであればあるほど、実践するのは簡単だ。

でも本に書いてある内容と自分がやろうとしていることは無関係であることの方が多いはずだ。 どこかの誰かの歌詞ではないが「質の高い仕事をするためのレシピ」などない。あったとしたらそのうち代替されるだろう。

キャリアポルノを読んでいる間に時間が過ぎる。そのことの方がよほどもったいない。 その間にプロダクトのソースコードを書けただろう。クライアントに電話を一本入れられたかもしれない。自分の時間の使い方を振り返ることだってできる。友達や家族と過ごすことができる。

知識労働をする以上知識は必要だが、「どこから知識を入れるか」を工夫しておかないといたずらに時間だけが過ぎていく。一次情報以外は全て無駄に終わることが多い。

それに何より、「仕事に向かい合う自分」は「仕事に向かい合う」ことでしか育て上げることはできないのだ。結局のところ。

以上、自戒の念でした。